外科
外科は消化器外科、乳腺甲状腺外科、呼吸器外科の3部門に分かれて診療を行っています。外科では5大がん(胃癌、肝癌、大腸癌、乳癌、肺癌)などに対して手術を中心とした診療を行っています。2020年の外科の手術件数は947件でした。
当院は「地域がん診療連携拠点病院」の指定を受けており、病院を挙げてがん診療の充実に力を注いでいます。2016年にはSPECT/CTの導入、放射線治療装置2台体制となった高精度放射線治療センターの開設、17年にはMRIのアップグレード、18年には血管造影室の改修、緩和ケアセンターの設置、19年には「がんゲノム医療連携病院」の指定を受けるなど常に最新で質の高い医療を提供できる体制を整えています。
当院には複数のキャンサーボードが設置され、毎週定期的に開催されています。消化器がんも外科医、内科医、放射線診断医、放射線治療医、病理医、緩和ケア担当医などが集まりがん患者の診断、治療方針などを検討しています。
消化器外科
診療方針・理念
消化器外科では食道、胃、小腸、大腸(結腸・直腸)肛門、肝臓、胆道(胆嚢・胆管)、膵臓、脾臓などの疾患や鼠径ヘルニアなどに対して手術を中心とした診療を行っています。
特に消化器癌の治療に関しては他科と合同で症例検討を行いよりよい治療を目指しています。進行再発がんの化学療法や術前後の補助化学療法などにも取り組んでいます。かかりつけ医の先生方と連携を取らせていただきながら、癌患者さんへの継続した診療サポートを目指しています。
また、急性虫垂炎を炎症性疾患、腹部外傷、腸閉塞など救急疾患も、他科の先生方と協力しながら対応しています。かかりつけの先生方には連携室を、または平日は外来を、休日や夜間は救急外来を窓口に対応させていただいていますので引き続きよろしくお願いします。
診療実績(令和3年1月~令和3年12月)
2020年の消化器外科領域の手術は、緊急手術82件を含め573件でした。
がんの根治手術は320件で、その内訳は食道がん6例、胃がん26例、結腸がん81例、直腸がん34例、肝がん25例、胆道がん2例、膵がん18例でした。腹腔鏡下のがん手術は62%の119件を占め、胃がん17例、結腸がん56例、直腸がん27例、肝がん13例に行われました。
がん薬物療法の新規入院治療は150件を数え、外来化学療法室の利用は延べ900件程度で推移しています。治療のレジメンは臓器ごとに異なり各々複数あるため、化学療法室として中央管理されています。免疫チェックポイント阻害剤の出現で臓器横断的な薬物を扱うこともあり、専門のスタッフによる監査を経ての安全な治療を心がけています。
がん治療においては栄養管理・疼痛管理など病態で変化する要因や自宅での生活の維持のためリハビリテーションの理学療法士・訪問看護・薬剤師・ソーシャルワーカーなど多職種で連携を取り、チームで治療とその環境つくりに対応しています。
食道 | 食道癌 | 6 |
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その他 | 2 | |
胃・十二指腸 | 胃癌 | 26 |
胃粘膜下腫瘍 | 3 | |
その他 | 6 | |
大腸 | 結腸癌 | 81 |
直腸癌 | 34 | |
その他 | 30 | |
胆・膵・脾 | 胆石症 | 72 |
膵癌 | 18 | |
胆管癌 | 2 | |
脾臓 | 3 | |
その他 | 9 | |
肝 | 原発性肝腫瘍および転移性肝癌 | 25 |
その他 | 1 | |
急性腹症 | 虫垂炎 | 38 |
腸閉塞 | 14 | |
その他 | 28 | |
ヘルニア | 鼠径ヘルニア | 77 |
腹壁瘢痕ヘルニア | 4 | |
その他 | 1 | |
その他 | 92 | |
小計 | 573 |
- 臨床指標
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パス適応率 67.7% (270件 の未使用、総入院数 879件)
手術術式 年間件数 平均在院日数
腹腔鏡下胆嚢摘出術 65件 6.45日
虫垂切除術 44件 6 日
腹腔鏡下鼡径ヘルニア根治術 52件 5.04日
幽門側胃切除術 33件 22.9日
胃全摘術 11件 22.4日
結腸切除術 99件 20.0日
直腸前方切除・低位前方切除術 20件 17.0日
肝切除術(腸管再建なし) 20件 16.1日