新着情報

ブランチ先生のケースカンファレンスが開かれました

 当院では、平成25年から年に3回、英国出身で湘南鎌倉病院に勤務されているブランチ先生に来ていただいて、英語によるケースカンファレンスを開催しています。今回(6月17日)は、今年度第1回目のカンファレンスでした。昨年まで当院で初期研修をしたU先生とT先生の結婚式が重なり、2年次研修医の多くがその披露宴に出席したことから、今回のカンファレンス参加者は12人と少なめでした。

 カンファレンスの前半は、症例提示と主に診断に至るプロセスのdiscussionです。当院の初期研修を終え、当院外科の後期研修医としてバリバリ働いているY先生が、「 A 67-year-old woman was taken by ambulance to a hospital, because of her disturbance of consciousness 」の題で症例提示をしました。病歴は、3年ほど前からめまいや、意識障害、視力障害などを繰り返しているが、食事するとそれらの症状が改善するというもので、症状はhypoglycemiaのために起こったものでした。ブランチ先生はhypoglycemia の鑑別として、EXPLAINS(Exogenous; 経口糖尿病薬やインスリン、Pituitary disease, Liver disease, Adrenal failure, Immune disease, Neoplasm, Sepsis)を挙げ、そこから診断に至りました。この症例の最終診断は、insulinomaで、膵頭部の腫瘍の核出術が行われ治癒しました。しかし、この例ではinsulinのみならずgastrinも高値であることが判明し、hyperinsulinemiaが胃炎を引き起こし、ガストリン分泌が亢進したという稀な症例でした。また、診断に至る過程で、下垂体腫瘍のbitemporal hemianopiaや低血糖の際にはinsulinと同時にC-peptideを測定すること、incidentaloma、Zollinger-Ellison syndromeなど多くの話がでました。

 後半は、Clinical Reasoningという言葉の定義から、患者を疫学的観点や、現在の状況など全体としてとらえることが重要だというレクチャーでした。一枚の絵(Comfort in the Gout, 1880 Joseph GREGO)からproblem list を挙げ、いかに鑑別診断をしてゆくのかを説明されました。

 最近、志賀高原にsnow monkeyを見に来た外国人の子どもがインフルエンザ肺炎(H1N1 pnd 2009)で入院しましたが、英語での診療が必要でした。研修医の皆さんは将来国際学会で発表したり、留学したりして、英語を使う機会が多いことでしょう。英語でのDiscussionやLectureはなかなか聞き取れないことも多く、ストレスが溜まりますが、是非研修医の頃から英語に慣れ親しんで、国際的に活躍できる医師になってもらいたいと願っています。

HPブランチ1.jpg

2ブランチHP.jpg3ブランチHP.jpg