病理部
病理部について
臨床医が患者さんの病変から採取した組織(生検、手術検体)、細胞(細胞診検体)、体腔液などの体液(同前)を、肉眼と顕微鏡で組織構築と細胞形態を観察し、病変の最終診断を行なっています。病理組織診断は治療方針の決定に結びつく重要な情報であり、診断の質と同時に適切なタイミングで依頼医への情報提供を心がけています。病理は「Doctor's Doctor」とも言われ、臨床の治療方針の相談にのるなど、縁の下で重要な役割を果たしています。
- 現在のメンバー
- 病理医2名(病理専門医1名、後期研修医1名)、非常勤病理医(信大)5名(病理専門医)、臨床検査技師6名(認定病理検査技師3名、細胞検査士5名)、事務員1名
- 検体量
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病理組織検査 細胞診検査 遺伝子検査 剖検 6,215件 6,294件 678件 8件 期間:2021年4月1日~2022年3月31日
現在おこなっている病理診断業務の内容
- HE標本(基本の染色法)と、必要に応じた免疫染色および特殊染色による組織診断
- 治療法選択の判断材料となる各臓器に特異的な病理学的検査(乳がんのホルモンレセプター、Her2 FISH、肺がんのEGFR、ALKなど治療方針の決定に直接結びつく部内検査の実施と判定)
- 診断困難例に関する外部へのconsultation(信州大学とその関連病院、静岡がんセンター、静岡県立総合病院、九州大学などと特殊・希少症例に関するdiscussionを行なっています)
- 組織診・細胞診による術中診断を、術前診断未確定例についておこない、術式の決定に役立っています。低侵襲の細胞診検体採取と細胞診断により病変の早期発見、術後経過観察に寄与しています。
- 臨床各科との検討会を通じて、十分な病理学的情報を臨床医に伝え、診療の質の向上に寄与しています(月に10回程度)。
- 検体の取り扱いには十分注意を払い、部内の良好なコミュニケーションを通じて、相互に補完しあいながら、インシデントを根絶する努力をしています。
- 各メンバーの質の向上のために、学会、研究会に可能な限り参加し、研鑽しています。
- 2019年より、信州大学より病理修練医を受け入れ、次世代の病理医育成に寄与しています。
- 病理解剖、CPC等を通じて臨床研修医など若手医師の育成に関わっています。
今後の予定
2019年6月より、がんゲノムプロファイリング検査(遺伝子パネル検査)が保険収載されました。当院は県内2番目のがんゲノム医療連携病院としての役割を担っており、病理部による腫瘍組織の評価を元に、新規開発薬の治験など新しい治療に、がん患者さんをつなげていけるよう、努めています。
また近年、分子標的薬など新規薬剤の開発とともに、遺伝子診断や、いわゆるコンパニオン診断業務の増加が予想されます。これらを正確かつ迅速におこない、患者さんの治療に役立てるために、遺伝子診断を日常業務とする遺伝子検査室の立ち上げを近い将来おこない、地域医療にさらに貢献できるよう努力してまいります。現在の業務の着実な遂行、将来に向けた業務内容向上のためには、若い病理医の参加が不可欠です。信州大学と連携して人材確保に努めてまいります。
病理外来での患者さんへの病理結果の説明などを行う業務は、現在行なっておりませんが、将来メンバーが増え余裕ができた段階で、臨床科と相談しながら受け持ち臨床医同席のかたちで、行うことを検討する予定です。