概要
「薬の専門家」として、私たち病院薬剤師は他の医療スタッフと共に最も効果的で安全な薬物療法をサポートしています。その中でも、特に地域がん診療連携拠点病院・救命救急センター・周産期母子医療センター・基幹災害医療センター等、長野赤十字病院の機能充実に必要な薬剤師業務の強化を図っています。
具体的には、各種チーム医療における薬剤師関与の強化、吸入薬指導連携やお薬手帳における院外薬局との情報共有化などを通して、病院機能強化と地域医療の充実に貢献する病院薬剤部を目指しています。 また、優秀な薬剤師の人材育成を通して患者様および医療人に選ばれる薬剤部であるとともに、人に優しい薬剤部を心掛けています。
薬剤部門の状況
薬剤師 | 35名 |
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事務職および調剤助手 | 7名 |
院外処方箋発行率(2022年度) | 95.0% |
薬剤管理指導件数(2022年度) | 約1200件/月 |
病棟薬剤業務実施加算 | 2014年7月より開始 |
診療の特色
調剤業務および鑑査
調剤業務
調剤ではお薬を正しくそろえるだけでなく、適正使用のために飲み方、使い方の説明をしています。また大きくて飲めないお薬をつぶして粉薬に加工したり、お薬を一回分ずつパックして簡単に間違いなく服用できるようにするなどの工夫もしています。
鑑査
調剤は人の手で行うため、慎重に行なっても間違える可能性が無いわけではありません。そのためダブルチェックを行なうことにより、間違いを未然に防いでいます。
注射薬の調剤(最新のピッキングマシーンを導入し、業務支援しています)
注射薬の調剤
処方箋の内容について、投与量・経路・速度・期間などの鑑査を行い、注射薬の調剤を行います。注射薬の中には混合すると薬の効力が落ちることもありますので、事前にチェックします。
麻薬管理
医療用麻薬の管理
医療用麻薬には、飲み薬、貼り薬、坐薬、注射の4種類があります。疼痛コントロールを行う上で、必要不可欠なお薬です。薬剤師はそれぞれの薬剤の使用状況を把握し、在庫数など厳重な管理を行っています。
製剤業務 (院内製剤)
製剤業務
患者様によって必要とされるお薬は様々なものがあり、中には市販されていない特殊なお薬を使う場合があります。そのような場合に医師の要望に応えて飲み薬や塗り薬、目薬まで調製しています。
無菌製剤(主に注射剤)の調製
無菌製剤の調製
中心静脈から入れる栄養は直接太い血管の中に投与することから、衛生管理にはとても気を遣わなくてはなりません。また抗がん剤や毒薬などは、目や皮膚に触れないように注意が必要です。こういった栄養剤や抗がん剤などは無菌室での調製を行っています。
薬物治療モニタリング
TDM(薬物治療モニタリング)
薬物治療モニタリング(TDM)とは、薬物を有効かつ安全に使用するために、薬物の血中濃度を測定して、患者さん個々に適した投与量や投与スケジュールを決定することです。「さじ加減」の非常に難しい薬(免疫抑制剤、抗生物質、気管支喘息治療薬、抗てんかん薬、心不全治療薬、不整脈治療薬)などを使用する場合に行なわれます。当薬剤部では抗菌薬を中心に投与設計を探求しています。
外来化学療法センター
外来化学療法室
外来治療で抗がん剤やリウマチ薬の治療を行う患者さんにお薬の調製や説明、看護師と共に副作用が現れていないか等の確認をします。
入退院センター
入退院センター
入院が決まっている患者さんが服用している薬を確認し、手術前に服用を止めるお薬などを医師と確認し患者さんと面談を行います。入院の際に、患者さんが持ち込んだ薬(持参薬)チェックや鑑別を行います。
病棟業務(薬剤管理指導)
病棟でのお仕事 〜患者さんと共に〜
入院中の患者さんが正しく薬を使えるように薬の効果や使い方、注意点を説明しています。また薬による副作用をチェックし、個々の患者さんにあわせて情報提供をしたり、薬の相談やご質問に応じています。
病棟薬剤業務(チーム医療への参画・他の医療スタッフとの協働)
病棟でのお仕事 〜医療スタッフと共に〜
医師や看護師など他の医療スタッフとの連携を図っています。入院患者さんの情報を共有し、薬剤師目線での意見を加えることで患者さんにとってよりよい薬物治療を目指しています。
医薬品情報
医薬品情報の収集管理と加工
薬の効果や副作用についての最新情報を収集し管理しています。院内に医薬品情報を発信し、薬を安全に効果的に使用できるよう努めています。
薬品管理
医薬品の管理と供給
必要な時に必要な量の薬を安定して患者さんに届けられるよう、購入・保管・供給と一貫した管理を行っています。薬の特性にあわせた品質管理に万全を期しています。
研修施設
- 日本医療薬学会 医療薬学専門薬剤師研修施設
- 日本医療薬学会 がん専門薬剤師研修施設
- 日本医療薬学会 薬物療法専門薬剤師研修施設
- 日本医療薬学会 地域薬学ケア専門薬剤師研修施設(基幹施設)
- 日本病院薬剤師会 がん薬物療法認定薬剤師研修施設
認定薬剤師および専門薬剤師、関連資格
- 日本薬剤師研修センター 認定実務実習指導薬剤師
- 日本薬剤師研修センター 漢方薬・生薬認定薬剤師
- 日本薬剤師研修センター 認定薬剤師
- 日本病院薬剤師会 感染制御認定薬剤師
- 日本病院薬剤師会 精神科薬物療法認定薬剤師
- 日本病院薬剤師会 HIV感染症薬物療法認定薬剤師
- 日本病院薬剤師会 日病薬病院薬学認定薬剤師
- 日本医療薬学会 医療薬学専門薬剤師
- 日本医療薬学会 がん指導薬剤師
- 日本医療薬学会 がん専門薬剤師
- 日本臨床救急医学会 救急認定薬剤師
- 日本アンチ・ドーピング機構 公認スポーツファーマシスト
- 日本化学療法学会 抗菌化学療法認定薬剤師
- 日本糖尿病療法指導士認定機構 糖尿病療法指導士資格取得薬剤師
- 日本臨床栄養代謝学会 栄養サポートチーム専門療法士
- 日本緩和医療薬学会 緩和薬物療法認定薬剤師
- 日本臨床救急医学会 救急認定薬剤師
- 公益財団法人日本リウマチ財団 リウマチ登録薬剤師
- 日本医療情報学会 医療情報技師
薬剤部員の主な所属学会
日本薬学会、日本医療薬学会、日本緩和医療薬学会、日本化学療法学会、日本糖尿病学会、日本臨床救急医学会、日本災害医療薬剤師学会、日本腎臓病薬物治療学会、日本静脈経腸栄養学会、日本生薬学会、日本薬物動態学会、日本エイズ学会、日本精神神経学会、日本循環器学会、日本免疫学会、日本禁煙学会など
人材育成(新人教育・専門・認定薬剤師の戦略的育成について)
新人教育についてはマニュアルを用いて体系的な教育プログラムを実践しています。
また、未取得領域の専門・認定薬剤師の育成、当院診療の重点項目に関連する領域の認定・専門薬剤師の更新および安定人数の確保を目標に、薬剤部として計画的に取り組んでいます。
研究活動および関連団体での活動内容、薬薬連携
論文掲載、学会発表、シンポジスト依頼など
薬薬連携(吸入の会・プレアボイド報告)
長野市および長野県薬剤師会・病院薬剤師会での活動
研究会・関連団体の活動
- 長野県のがん医療を考える薬剤師の会
- 北信糖尿病デバイス・インストラクター養成
心不全患者退院後フォローアップシート
病院薬剤師確保事業奨学金返還補助制度
病院薬剤師確保事業に係る奨学金返還補助について詳しくはこちらをご覧ください。