皆様方には日頃から格段のご厚誼を賜り厚く御礼申しあげます。
当院は人道・博愛・奉仕の赤十字精神にのっとり、患者さん中心で質の高い医療を実践するという病院の理念を基に、各医療機関の皆様との連携を深め、地域医療支援病院として更にその機能を充実するよう努めてまいります。
病院の理念のもと、①地域医療支援病院としての役割、②基幹・地域災害拠点病院、③次世代医療人の育成、を当院の使命としています。
地域医療支援病院では救急医療、がん診療、周産期母子医療が三つの柱です。救急医療は「病院の総合力」と「職員の献身的な使命感」を必要とする領域です。当院は北信地域の三次救急を担う救命救急センターとして「断らない救急」・「救急診療の質の向上」に努めております。一昨年より救急搬送数は著しく増加、2023年1-12月の救急車・ドクターヘリ搬送は昨年より880件増加し計8299件、救急車応需率は99.5%でした。特に、循環器救急・脳神経救急では医師が24時間365日院内に常駐している体制をとっております。循環器病センターではTAVI(経皮的大動脈弁置換術)実施施設を整備、2019年7月開始以来、現在(2024年2月)までに209例を実施いたしました。また、当院は地域がん診療連携拠点病院に指定されており、高精度放射線治療センターを開設し、ダ・ヴィンチ手術装置などの高度な治療環境の整備に努めています。開設後27年を迎える骨髄移植センターは全国レベルの優れた成績です。また、地域周産期母子医療センターとして、母体搬送・新生児特定集中治療室との連携により、妊婦と新生児の二つの大切な命を守っています。平成30年度にLDR(陣痛・分娩・回復室)の整備と分娩室の改修を行い、より整備され機能的な環境になっています。また、昨年5月より生殖医療センターを開設し、体外受精・胚移植と不妊に対する診断・治療・手術も行っています。
災害医療では、長野県唯一の基幹災害拠点病院に指定されており、DMAT隊と救護班の編成を行い、救援物資の備蓄と配分などの体制を常に備えています。本年元旦に発生した能登半島地震では、DMAT隊4班、救護班2班、その他災害医療コーディネーターチームなど計62人(2月7日現在)を現地に派遣致しました。また、令和元年の台風19号による千曲川堤防決壊時には院内にDMAT隊活動拠点本部が設置され、総計277名に活動していただきました。
人材育成はきわめて重要な病院の使命と考えています。基幹型医科・歯科臨床研修病院として、更には医学生・多職種の学生も多数受け入れています。現在までに248名が当院で医師初期臨床研修を修了致しました。
新病院建設について、一昨年10月末に日本赤十字社本社の承認を得て、昨年2月には長野市との間に建設予定地および財政援助に関する包括基本協定を締結していただきました。そして、昨年11月から基本設計に入りました。地域住民の皆様、各医療機関の皆様、医師会、行政などと広く意見の交換をしながら、新病院建設をすすめてまいります。どうぞ皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。
長野赤十字病院はこれからも地域住民の皆様に信頼される基幹病院として「診療の質の向上」と「医療連携」、そして「安心・安全な医療の提供」に努めてまいりますので、より一層のご支援をお願い申しあげます。
2024年4月
長野赤十字病院 院長