形成外科


形成外科について

医療の特色

切断指を含む手指の外傷、手の疾患、体表の先天異常や母斑、頭頸部再建、乳房再建、眼瞼・涙道疾患、皮膚腫瘍など、形成外科全般にわたる疾患を、院内各診療科及び地域の医療機関との連携のもとに治療しています。

理念

形成外科診療全般にわたり、患者中心で質の高い医療を実践します。

診療方針

外傷、悪性腫瘍再建、先天異常の診療を三本柱としつつ、加齢による疾患についても安全で質の高い医療を行います。
地域の病院や診療所と連携し、限られた医療資源を効率的に運用します。
次世代へつながるよう、初期研修医、特定行為看護師、形成外科専門医、手外科専門医、熱傷専門医を育成します。

症例、治療、成績:年間の手術数は約1000例(NCD、手技数)で、形成外科すべての領域にわたっている。

○培養表皮・RECELL使用についての施設基準を満たしており、重症熱傷への対応を行っている。

○中手骨以遠の骨折、脱臼、腱断裂、神経断裂などの手指外傷全般に対応している。切断指では、微小血管吻合による再接着を行っている。静脈吻合の困難な末節切断に対しても様々な工夫を行い、生着を目指している。再接着術の適応とならない症例でも皮弁手術により指の短縮を最小限に抑えている。近隣の医療機関とは救命救急ホットライン切断指の運用を行っている。

○他にも微小血管吻合技術を用い、遊離皮弁による頭頸部を主とした悪性腫瘍切除後の再建や四肢外傷後の再建も手がけている。近隣の医療機関のリンパ浮腫外来と連携し、リンパ管細静脈吻合術も行っている。

○乳癌症例では乳腺外科と連携し、エキスパンダー・ブレストインプラントを用いた乳房再建を行っている。横軸型腹直筋皮弁による二期的再建も行っている。

○先天異常では、唇顎口蓋裂、漏斗胸、眼瞼下垂、睫毛内反、小耳症、埋没耳、母指多指症、などの治療を行っている。唇顎口蓋裂に対しては信州大学形成外科教授による専門外来を月1回開設し、手術と術後診察を受けられる体制をとっている。漏斗胸に対してはこども病院と連携し、内視鏡を用いたNuss法手術を行っている。先天性眼瞼疾患に対してTFL移植による眼瞼下垂症手術、内眥形成を併用した睫毛内反症手術を行っている。手足では母指多指症、合指症、多合趾症などの手術において、機能的予後だけでなく爪の形態など整容的にも満足の得られるように配慮している。埋没耳、折れ耳、立ち耳、副耳、耳瘻孔、小耳症など、耳介の先天異常に対する矯正や手術治療を行っている。太田母斑、異所性蒙古斑、扁平母斑などのあざや、血管腫・血管奇形に対するレーザー治療、手術治療を行っている。

○デュピュイトラン拘縮、ばね指、ドケルバン病、手根管症候群、ヘバーデン結節、粘液嚢腫などの手指の疾患について、適切な保存治療と手術治療を行っている。

○近年まぶたと頭痛、肩こりの関連が指摘され、高齢化の進行も相まって眼瞼下垂症手術が増加している。加齢による眼瞼内反症に対しては低い再発率を目指している。涙道閉塞に対する涙道内視鏡下のシリコンチューブ留置手術や涙のう鼻腔吻合術も行っている。

○腋窩・陰部・臀部から排膿が多発する化膿性汗腺炎に対して、手術治療とアダリムマブの自己注射治療を併用し、生活の質を向上させる取り組みを行っている。

○看護師特定行為研修の指導を行い、自律的に褥瘡などの創傷ケアができる看護師を育成している。将来的には北信地域の在宅医療において褥瘡ケアに長けた看護師が対応できる体制を目指している。

医療設備:手術用顕微鏡(視野内ICG観察可)、Qスイッチルビーレーザー、色素レーザー(VBeamⅡ)、涙道内視鏡、培養表皮・RECELL使用可能

診療実績(2021年1月~2021年12月)

手術・検査件数

手術内容 件数
新鮮熱傷 22件
顔面軟部組織損傷 26件
顔面骨骨折 23件
頭頚部・体幹の外傷 4件
上肢の外傷 149件
下肢の外傷 21件
唇裂・口蓋裂 19件
頭蓋・顎・顔面の先天異常 40件
四肢の先天異常 10件
その他の先天異常 2件
良性腫瘍レーザー除く 352件
良性腫瘍レーザー症例 178件
悪性腫瘍 48件
腫瘍再建など 36件
瘢痕、瘢痕拘縮、ケロイド 10件
褥瘡、難治性潰瘍 31件
変性・炎症 126件
美容外科 2件
その他 36件
合計 1,135件

症例数・治療・成績

年間の手術数は約1,135例で、形成外科すべての領域にわたっている。
2022年1月1日〜12月31日 形成外科入院患者総数 250人