整形外科・リウマチ科

整形外科・リウマチ科について

診療方針・理念

病診連携・病病連携を通じてご紹介いただく患者の皆様の診療を使命としています。これを実現するために2002年より初診および再診すべてを完全予約制としています。慢性疾患に対する高度な診療を提供しながらも、重度外傷などの3次救急疾患にも対応し、当院の理念である「24時間断らない救急」を目指しています。とはいえ、理念だけが先行すると各医師たちは日勤~夜勤~日勤という連続業務を続けることになりかねず、スタッフの疲弊を招くことになります。これは医療安全の点で不適切であり、逆に地域住民の健康を守ることができなくなります。当院に課せられた高度の3次救急に対応するためにはスタッフの正常な余力が必須と考えております。そのために打撲・捻挫、単純骨折や高齢者の大腿骨頸部・転子部骨折などの1次・2次外傷についてはそれに適した施設で治療を受けていただけるよう整形外科部長として強く希望しております。それにより、より高度の外傷や難治疾患に注力できると考えます。そして、急性期治療に区切りがついたところで、紹介いただいたクリニックにお戻りいただき、あるいは"かかりつけ医"へご紹介させていただくようにしております。地域の医療資源を有効に活用するための方策であり、患者の皆様、ご家族の皆様にはご理解いただけますようお願い申し上げます。
3次救命救急センターとして、高度に粉砕挫滅した四肢外傷に対してはイリザロフ創外固定法を取り入れており、これにより従来ならば再建困難な四肢外傷に対しても良好な治療結果を提供できております。

当科の特徴は小児整形外科疾患、スポーツ関連障害、脊椎疾患、四肢関節疾患、骨軟部腫瘍から転移性骨腫瘍および多発外傷などを専門的に治療していることです。さらに、種々の合併疾患を有するがために手術が困難とされる患者の皆さんについても他診療科との協力のもと治療の方向性を検討できることが当院・当科の強みです。

扱う疾患

外傷外科、関節外科、脊椎外科、手の外科、運動器の腫瘍、スポーツ医学、といった整形外科の全領域を網羅するよう診療を行っています。

整形外科イメージ

  1. 変形性関節症に対する人工関節手術

    変性変形により痛みを伴う関節に対して人工股関節・人工膝関節全置換手術を行っています。

  2. 小児整形外科(先天性股関節脱臼・先天性内反足など)

    手術治療と保存的治療をバランスよく行っております。少子化の社会において小児を大切に育てることはより重要と考えます。そのためには、小児の運動器疾患に対して対応できることが極めて重要であり、当科でしっかり対応しております。

  3. スポーツ整形外科(スポーツ活動を通じて障害を被った股関節や膝関節疾患)

    関節鏡視下手術を積極的に行い、好成績を残しています。

  4. 脊椎疾患(頭頸移行部から腰仙椎まで)

    通常の脊髄神経除圧術や脊椎固定術そして経皮的手術としてのBKPなど小侵襲手術などの手術を行っております。とくに経皮的椎体形成手術(BKP)では骨粗鬆症性圧迫骨折に対して変形の防止・改善とともに即時固定性による除痛効果が高く、高齢者の新鮮圧迫骨折や偽関節例に高い治療効果を発揮しております。

  5. 上肢・手の外科

    手指の筋腱障害・手指変形性関節症などに対しても外科的治療を行っております。手の外科については当院形成外科でも扱っており、単一の診療科が扱うというよりも集学的に協力し合って診療にあたっております。

  6. 骨軟部腫瘍・転移性骨腫瘍

    がんの骨転移患者さんのために、院内には骨転移キャンサーボードを設立し、関連診療科と連携協議しながら治療にあたっています。がんの骨転移による四肢の骨折や脊椎の骨折、そして急性の脊髄障害による手足の麻痺などに対応しております。

  7. 四肢重度外傷・骨盤輪骨折

    イリザロフ創外固定法や骨盤観血手術などこれら重度外傷に対しても妥協なく対応しております。特にイリザロフ創外固定法では軟部組織への侵襲を最小限に抑え、骨折部を強固に固定することで即時荷重運動が可能となる優れた手法です。また、この方法を応用することで骨移送といって欠損してしまった骨を新たに創生させることも可能となっております。

当科では基本的に主治医(担当医)制をとっております。受診された患者さんについて、その治療方針決定は担当医だけではなく整形外科全体の意思の元に合議されます。月曜日から金曜日の毎朝8時から整形外科医師全員と薬剤師などが集うカンファレンスが行なわれ、初診患者さんや入院患者さんについての治療方針決定や、治療経過についての再評価などを行なっており、チーム医療を実践しております。

診療実績(2019年1月~12月)

2019年の手術実績は1,445件(脊椎手術322件、四肢関節手術229件、四肢骨折手術894件、その他137件)でした。
外来新患患者は2,550名、外来延患者数は19,540名、新入院患者数は1,645名でした。

年間手術件数(1,445件)

脊椎
(322件)
頚椎
(52件)
前方除圧固定術 4
脊髄腫瘍切除術 2
脊柱管拡大術 30
後頭‐頸椎固定術 1
後方固定術 10
その他 5
胸椎
(17件)
脊髄ヘルニア解除術 1
脊髄腫瘍摘出手術 3
前方固定術 1
後方固定術 6
椎弓切除術 3
その他 3
胸腰椎
(75件)
経皮的椎体形成手術(BKP) 35
前方固定術 5
後方固定術 3
経皮的椎弓根スクリュー固定術(PPS) 25
その他 7
腰仙椎
(178件)
顕微鏡視下椎間板ヘルニア切除術 15
椎弓切除術 1
前方固定術 2
後方進入腰椎椎体間固定術(PLIF) 69
経皮的椎弓根スクリュー固定 4
脊髄腫瘍摘出術 2
後側方固定術 4
内側椎間関節切除術 33
経皮的椎体形成手術(BKP) 30
OLIF 2
その他 16
四肢関節
(229件)
人工関節
(114件)
人工股関節全置換手術 66
人工膝関節全置換手術 43
リウマチ前足部手術 5
寛骨臼回転骨切り術 1
関節鏡手術
(79件)
膝半月切除術 28
膝半月縫合術 7
膝前十字靭帯再建術 8
肩腱板断裂修復術 22
肩バンカート修復術 2
反復性膝蓋骨脱臼靭帯形成術 3
その他 9
小児整形 先天性内反足腱延長手術 2
変則肥大矯正術 1
その他 鏡視下手根管解放術(ECTR) 9
直視下手根管解放術(OCTR) 10
肘部管開放手術 13
四肢骨折
(894件)
鎖骨骨折骨接合手術 28
肩鎖関節脱臼観血的整復固定手術 3
上腕骨頸部・骨幹部骨折骨接合手術 44
肘頭骨折骨接合手術 29
小児上腕骨顆上骨折骨接合手術 6
橈骨遠位端骨折骨接合手術 103
手部・指骨骨折骨接合手術 17
マレットフィンガー手術 4
大腿骨頸部骨折人工骨頭挿入術 53
大腿骨頸部骨折骨接合手術 26
大腿骨転子部骨折骨接合手術 75
大腿骨転子下骨折骨接合術 8
大腿骨骨幹部骨折骨接合手術 15
大腿骨顆上骨折骨接合手術 4
橈骨遠位端骨折観血手術 106
脛骨腓骨骨幹部骨折観血手術 46
足関節三果骨折骨接合手術 83
高度粉砕開放骨折 四肢イリザロフ創外固定手術 22
その他 骨折観血手術 5
抜釘手術 80
その他の手術
(137件)
腱鞘切開手術 8
母指CM関節症手術 2
外反母趾矯正手術 2
骨軟部腫瘍手術 13
アキレス腱縫合手術 15
転移性骨腫瘍観血手術 3
不安定骨盤輪骨折 骨盤骨折観血手術 2
その他の手術 92

人工関節置換手術

人工関節置換術(膝関節と股関節)について

整形外科イメージ

近年テレビや雑誌でも取り上げられるロコモティブシンドロームやフレイルといった用語は、歩く・階段を昇り降りするといった基本的な身体活動がままならなくなってしまった状態を表すものですが、実は股関節や膝関節など歩行に欠かすことのできない関節の痛みが大きく関わっている場合が多いと言われています。人工関節置換術は、適切な時期に適切な手術を行うことで患者さんの歩く機能、日常生活上の動作を飛躍的に改善させることができるもので、同じく最近よく取り上げられるいわゆる「健康寿命」の延伸を、高い確実性で実現できる優れた治療法であると言えます。そういったことが皆様に広く認知されるようになったことに伴い、我々医療機関に対する人工関節置換術の需要は年々増加してきております。これはすなわち地域の皆様方の当院への大きな期待の表れと理解致しまして、より良い人工関節治療を持続的に行っていくために、高い手術技術の維持はもちろん、各分野・各職種のスペシャリスト達がチームとなって誠心誠意お一人お一人の患者さんの人工関節治療にあたることを第一義としております。

当院の人工関節治療の特色
  1. チーム医療

    人工関節治療には病院内の様々な職種のスタッフが関わります。医師、看護師はもちろんのこと、薬剤師、理学療法士、ソーシャルワーカー、栄養士、事務職員、これら各分野のスペシャリスト達が、「全ては患者さんのために」というシンプルな目的を共有してチームとして機能している点が当院の大きな特色と言えます。外来を受診して頂き手術が決まり、入院、手術、リハビリを行って退院となり、退院後自宅で安心して生活ができるようになるまで。この一連の流れの中での様々な不安を各スペシャリストが解消してくれることで患者さんには終始安心の中で療養生活を送って頂けると確信しております。

  2. 時代に即した高度な手術手技

    整形外科イメージ

    日進月歩の医療界においては手術手技も常に改良が加えられておりますが、最新であることもさることながら、長い実績が証明されているということが優れた手術手技の必須条件であると言えます。当院でも国内外の動向に目を向けつつ常に手技の向上に努めてより良い結果を患者さんにもたらせるよう日々研鑽を積んでおります。人工関節置換術とは関節を置き換えることが主と捉えられがちですが、それが良好に機能するためには実は筋肉などの軟部組織の機能を損なわないことが極めて重要です。そのため人工股関節置換術においては筋肉の切離を極力少なくするべく前方進入法での手術(小侵襲手術)も取り入れております。

  3. 痛み対策

    以前は手術の後なのだから痛くて当然と言われることが多かったかと思いますが、現在は様々な方法で鎮痛を行って(マルチモーダルペインコントロール)、手術後早期の痛みをなるべく低減しようという考え方が広まっています。当院では麻酔科の先生に末梢神経ブロックを施行して頂き、手術中には手術部位に局所麻酔や止血剤等の局所注射を行い、術後は数種の薬剤を併用することで徹底的な鎮痛を図っており概ね好評を頂いております。

  4. 術前リハビリ

    手術後痛みもあり思うように関節が動かない状態でやったことのない運動をすることはなかなか困難かと思われます。当院では入院前から術後に行う運動の一部をご自宅でやって頂くことで、術後のリハビリにスムースに入れるようにするとともに術前の筋力低下を防ぐという目的で、術前に理学療法士によるマンツーマン指導を取り入れております。

  5. 短い手術前待機期間

    痛い思いをしながら何カ月間も手術を待つというのは大変苦痛なことだと思います。当院では麻酔科や手術室・病棟スタッフの協力により手術待機期間の短縮を実現しております。通常1カ月間程度の待機期間で手術が可能です。

脊椎・脊髄疾患

整形外科イメージ

長野冬季オリンピックの前年である1997年4月に脊椎疾患を担当する医師が名古屋大学から赴任しました。それ以降は安定的に脊椎疾患のケアをすることができるようになりました。当院は優秀な麻酔科スタッフ、内科系スタッフに恵まれており、他院で手術を断られたような諸々の合併疾患を有する患者さんに対しても最初からあきらめることなく、努力しております。事実、手術患者さんの48。7%の患者さんは何らかの合併疾患を有していました。これまで年齢では1歳3ヵ月から94歳までの患者さんが脊椎手術を受けています。高齢だからという理由だけでは手術をあきらめず、高齢者であるからこそより良い生活の質の再獲得を目指しております。

脊椎手術の流れ

初診
多くはクリニックの先生方から紹介いただいて外来で診察させていただきます。紹介元からすでに資料が整っていていれば追加検査は行いませんが、多くの場合は追加検査を行ない、手術が必要か、手術をすればよくなるのかなどを検討します。この判断は医師一人では行わず、毎朝開催されている整形外科カンファレンスの中で整形外科医全員が協議して判断しております。
手術前検査とインフォームドコンセント
手術の必要があると判断した場合、ご本人およびご家族と相談して手術の日取りを決めます。ほとんどの脊椎手術は「クリニカルパス」といって標準化されたプログラムで進みますので14泊15日間の入院日程となります。手術の日取りが決まれば、1-2週前に再診して頂き、全身麻酔を受けるための健康診断を行ないます。同時に手術について説明を行ない、インフォームドコンセントとなります。
また、あらかじめ当院の「入退院センター」にて諸々の手続きや手術を安全に受けていただくためのチェックや説明があります。
入院
手術の前日午前中の入院となります。この日は麻酔科医による手術前説明を受けていただきます。また、患者さん本人と執刀医により手術部位の再確認が行われ、手術部位誤認を決して起こさないために手術をする部位に皮膚用サインペンで記をします。皮膚にサインペンなのであまり気が進まない作業ではありますが、医療安全推進のためには必要な作業ですのでご理解頂きたいと思います。
手術当日
いよいよ手術です。ご家族に見送られて担当看護師さんと中央手術室に入室します。手術室では担当麻酔医の挨拶があり、執刀医とともに再度手術する部位の確認があります。全身麻酔で完全に眠った状態になったところで、手術体位を整えますが、手術開始の直前にももう一度担当スタッフとともに麻酔医・執刀医・助手・器械ナース・外回りナースとともに手術方法や準備機材の再確認などを行ない医療安全に努めます。手術が終わると、麻酔医や看護師さんがお名前を呼びます。名前が聞こえたら無事に手術が終わった証です。麻酔が覚めたところで病棟に戻ります。
手術後は傷の痛みがあるのではと心配になると思います。当院ではできる限り手術後の痛みを和らげるために、手術部位に細い管を留置して医療用麻薬を少しずつ注入しています。この麻薬には強力な鎮痛作用があります。背中を手術したらどうやって寝ていればいいかですが、普通に傷口を下にして寝ることができます。
手術翌日
神経の周りに血液が溜まって神経を圧迫しないために、「ドレーンチューブ」という細い管が背中につながっています。この管があるため自由に歩くことには制限がありますが、翌朝からベッドサイドに腰かけて食事をとることができます。この管は通常は手術の翌々日に抜去されますので、それからは歩行練習が本格的に始まります。
退院まで
全身状態をチェックするために、手術後すぐ、手術後3日、7日、退院前の計4回の血液検査があります。これは手術部位に細菌感染が生じて化膿するという「術後創部感染」を早期に発見監視するための検査でもあります。リハビリテーションが順調に進んで安定して歩行ができることを確認したら、手術後13日目を目安にご自宅へ退院となります。
退院後
退院後は約1ヵ月のところで退院後最初の診察があります。この時はレントゲン写真を撮影し、血液検査で全身状態をチェックします。特に問題がなければ、定期的に経過を見守ります。状態が落ち着いたところで、クリニックの先生方へその後の経過観察をお願いしつつ、何か必要性が生じたときにはまた当院と連携して診ていくようにしております。

イリザロフ創外固定法でできること

整形外科イメージ

交通事故や墜落事故など高エネルギー外傷による高度に粉砕した四肢の骨折では、皮膚や筋肉の損傷も高度に伴い、治療が著しく困難です。しかし、当科で採用しているイリザロフ法では、軟部組織(筋肉・腱・靭帯・皮膚)への侵襲を最小に抑えつつ、個々の骨折部位を固定することで全体として強固な骨折整復固定が可能となります。これにより術後すぐに体重をかけて歩くことも可能となり機能障害を残さないようリハビリテーションが進みます。
手術前の計画が重要であり、インターネットを介したシミュレーションにより立案から実施まで当科で行っております。