歯科口腔外科
歯科口腔外科について
診療方針・理念
特色:当科は1983年10月に新病院への移転を機会に開設され、開設に際して地元歯科医師会との役割分担を明確にし、いわゆる一般歯科医療は重度心身障害者および有病者のみで、口腔外科的疾患がほとんどである。
症例数、治療、成績:2019年1月より2019年12月までの最近1年間の新患患者数は4,662名である。中央手術室における手術件数は176件である。顎骨骨折については、下顎骨および咬合の偏位を有する上顎骨骨折(Le FortⅠ)は当科で、Le FortⅡ、Ⅲ型、眼窩底骨折および顎骨骨折は形成外科で処置することとなっている。)
- 顎・口腔悪性腫瘍
- 術後機能も考慮し、外科的療法を中心に部分切除から広範な切除並びに再建手術(マイクロサージェリーによる再建、形成外科との合同手術)まで幅広く実施している。また化学療法については、術後の補助療法並びに再発時に積極的に行っている。
- 顎変形症
- 通常の矯正歯科治療のみでは対応できない額変形症を伴う歯列不正に対し、地元の歯科矯正専門医と連携し、これまでに400例以上の外科的矯正手術を行っている。
- インプラント治療
- 安全で確実な手術を行うことを目標に、現在まで3000本以上のインプラント埋入手術を行っている。
- 睡眠時無呼吸症候群
- 睡眠時無呼吸症候群については、医療機関と連携し、口腔内装置の製作を担当している。紹介状を持参した患者のみの診療となっており、初診時から予約診療で対応している。
- 口腔乾燥症
- 口腔乾燥症の診断、治療を行っている。唾液分泌促進剤、漢方薬、保湿剤等を使用した治療を行っている。
口腔ケアとは
口腔ケアは、『①口腔疾患の予防』『②口腔の健康の維持増進』『③口腔機能の維持回復』によりQOLの向上、介護予防、介護負担の軽減を図るものであります。また口腔ケアには、口腔のリハビリテーションを主軸とした機能的ケアと、口腔清掃を主とする器質的口腔ケアがあります。
口腔ケアの目的・効果
- 口腔感染症の予防
う蝕、歯周病、カンジダ症 - 口腔機能の維持・回復
- 唾液分泌促進(口腔乾燥防止)
- 咀嚼機能・摂食・嚥下機能の改善、 感覚機能(味覚、触覚、温度)の向上
- 口腔機能の低下や廃用症候群の予防(脳卒中後急性期リハビリテーション)
- 全身感染症の予防
誤嚥性肺炎、感染性心内膜炎、日和見感染症、人工呼吸器関連肺炎等の原因となる口腔内細菌数の減少 → 細菌の質的・量的バランスの正常化 - 全身状態やQOLの向上
- 経口摂取を促す → 低栄養、脱水の防止 → 体力回復、意欲向上
- 認知機能低下の予防
- コミュニケーション機能の回復
構音機能の維持・回復によりコミュニケーション機能を回復 - 社会経済効果
誤嚥性肺炎等の予防効果による医療費削減効果への期待
口腔ケアチームの設置目的
- 入院患者の口腔環境改善
- 誤嚥性肺炎の予防
- QOLの向上
メンバー構成
- 神経内科医師(星健康管理科部長兼神経内科部副部長)
- 病棟看護師(長田係長、B4、B6、C5から数名)
- 歯科医師(五島歯科口腔外科部副部長)
- 歯科衛生士(清水DH、寺島DH)
- 言語聴覚士(二木ST)
- 理学療法士(関塚PT)
口腔ケアチームの活動内容
- 月一回のミーティング
- 勉強会の開催(年に2~3回)
- マニュアルの作成
口腔ケアチーム介入の流れ
手術室使用症例(2020年1月〜12月)
手術名 | 全麻 | 局麻 | 計 |
---|---|---|---|
歯・歯槽外科手術 | 55 | 0 | 55 |
補綴前外科手術/骨隆起形成術 | 4 | 0 | 4 |
口腔・顎・顏面インプラントおよび関連手術 | 0 | 3 | 3 |
消炎手術 | 5 | 1 | 6 |
良性腫瘍・嚢胞・腫瘤形成性疾患等の手術 | 37 | 0 | 37 |
唾液腺関連手術 | 8 | 0 | 8 |
上顎洞関連手術 | 1 | 0 | 1 |
顎骨骨折手術/異物除去手術 | 17 | 0 | 17 |
顎変形症関連手術 | 26 | 0 | 26 |
癌/前癌病変関連手術 | 14 | 0 | 14 |
再建外科手術(形成外科と合同手術含む) | 3 | 0 | 3 |
その他 | 1 | 0 | 1 |
合計 | 171 | 4 | 175 |