消化器内科

消化器内科について

上部消化管、下部消化管をはじめとして、膵胆道疾患、肝疾患などすべての消化器疾患に対応します。特に悪性腫瘍についてはcancer boardにて消化器外科、放射線科をはじめとした院内各科と連携し、最適な治療が行えるように努めています。手術適応のない症例、手術を希望されない症例に対する化学療法に際しては、がん専門薬剤師と連携して最新の臨床試験結果をもとに、患者様個々の病態に応じて治療レジメン、治療薬の投与量、適切な副作用対策を決定しています。

診療方針・理念

上部消化管疾患
消化管出血に対しては休日夜間を問わずに緊急内視鏡が出来る体制を整えていますが、NSAIDs使用例に対するPPI予防投与が浸透して来ているためか、上部消化管出血例は減少傾向になっています。食道表在癌、早期胃癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)も積極的に行っており2017年は64例でした。手術適応症例に対しては消化器外科と連携し正確かつ迅速な術前検査を目指しています。食道癌非手術例に対しては放射線科と協力して治療を行っており2017年の放射線化学療法施行例は13例、放射線単独の治療例は15例でした。

当科で行っている化学療法レジメン一覧(平成30年5月25日現在)

下部消化管疾患
大腸内視鏡検査は、より苦痛が少なくなるように挿入性の向上した最新機種を使用し、炭酸ガス送気を全例に用いることで検査中、検査後の腹部膨満感を軽減しています。さらに必要に応じて拡大内視鏡を使用することで、ポリープの良悪性をその場で判断しています。ポリープ切除は年間約500例で、小さな病変は外来で施行しています。
多くの大腸癌は、小さな良性ポリープ=腺腫が、何年もかけて大きくなってポリープの一部が癌化すると考えられています(例外もありますが)。大腸カメラではなるべくポリープを見落とさずに検出することが重要で、腺腫発見率(adenoma detection rate:ADR)が大腸癌発見精度の指標となると報告されています(N Engl J Med 2014; 370:1298-1306)。当科の腺腫発見率は45%(2014年)で、欧米のdataより高く、それだけ丁寧に検査していると言えるでしょう。時に検査時間が長くなることもありますが、見落としの無い検査には十分な観察時間が必要であるとも言われています。
大腸がんに対する内視鏡治療の選択肢として2012年4月から内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dissection:大腸ESD)が保険導入されました。大腸ESDは病変直下の粘膜下層に液体を注入し、盛り上がった粘膜下層を専用のナイフを使用して少しずつ剥ぎ取っていくという治療です。EMRやコールドポリペクトミーでは、サイズの大きな病変や平坦な病変は治療困難であり、早期がんでも数年前までは外科手術が主体でした。大腸ESDにより、大きな病変でも内視鏡治療可能となり患者さんへの負担も軽くできるため、従来の外科治療に代わる新しい治療法として注目されています。大腸ESDは難易度の高い技術で治療できる施設は限られておりますが、当院では年間約30例施行しており治療成績も良好です。
この他多数の炎症性腸疾患症例(潰瘍性大腸炎、クローン病)の治療も行っております。

当科で行っている化学療法レジメン一覧(平成30年5月25日現在)

進行大腸がん(PDF:159KB)

膵胆道疾患
膵胆道の病気は腹痛や黄疸などが代表的な症状であり患者さんに大きな苦痛をもたらします。
良性疾患では胆嚢炎、胆管炎、膵炎などが代表的な病気であり、PTGBD:経皮経肝的胆嚢ドレナージやPTCD:経皮経肝的胆管ドレナージなどの経皮経肝的処置やERCP:内視鏡的逆行性胆管膵管造影による内視鏡的処置が必要となります。いずれの処置も当科で行っており、2017年度のPTGBD、PTCDおよび関連手技の施行件数は30件、ERCPおよび関連手技の施行件数は349件でした。
悪性疾患では膵臓癌、胆道癌が代表的ですが、いずれも早期発見が困難な悪性腫瘍であり半数以上の症例が発見時に手術不可能なほどに進行しているのが現状です。しかし、近年は診断精度の向上により早期発見を行うことが可能となってきました。その中の代表的な検査として、超音波内視鏡検査:EUSが挙げられます。昨年のEUS件数は137件であり、超音波内視鏡ガイド下針生検:EUS-FNA件数は41件でした、EUS-FNAでは迅速細胞診を付加することで診断能の向上と早期診断に力を注いでいます。膵胆道の悪性腫瘍は患者さんの病状とUS、EUS、CT、MRI、ERCP等の画像検査を総合的に判断し診断すべき疾患であり、とりわけ専門性が高い領域といえます。当科では膵胆道悪性腫瘍に対し専門医、指導医が早期に迅速かつ正確に診断するように努めています。最後に当科で診断した膵上皮内癌(最も早期の膵癌)の1例を提示します。

黄矢印が上皮内癌部分

当科で行っている化学療法レジメン一覧(平成30年5月25日現在)

進行胆道がん・膵がん(PDF:161KB)

肝疾患
  1. 慢性肝炎
    C型慢性肝炎は2014年9月にインターフェロンフリー治療が保険適応になって以来、ほとんどの患者さんでウイルス排除が可能な時代になり、当院でも2017年11月末に保険収載された グレカプレビル/ピブレンタスビル(マヴィレット)を含め260症例を超える症例に治療を行っています。これまでのインターフェロン治療に比べて副作用が軽いため、入院が不要であり、外来でより安全に治療ができるのが特徴です。B型肝炎についてはエンテカビル(バラクルード)、テノホビル(テノゼット)、テノホビル・アラフェナミド(ベムリディ)などの核酸アナログ製剤を多数の患者様に投与を行い、効果を上げています。若い方についてはインターフェロン治療も行っています。
  2. 急性肝炎
    当院を受診される患者様に加え、重症例や原因が不明で経過が悪い症例など、他院からの紹介を広く、受け入れて治療を行っています。
  3. 肝硬変
    最近は栄養療法が重要な治療になってきています。当院では6年前から間接熱量計を導入し、患者様一人一人にあった栄養指導を目指しています。その他、B型肝硬変では核酸アナログ製剤の投与を行い、また、C型肝硬変の初期の方に対してはインターフェロンフリー治療を行っています。
  4. 肝がん
    肝がんも早期発見が重要です。発癌の危険が高い慢性肝炎、特に肝硬変では超音波検査、CT検査、MRI検査を定期的に行い早期発見に努めています。その他、他施設からの紹介も広く受け入れています。当科では2000年から経皮的ラジオ波焼灼術を行っており、隣接する臓器に腫瘍が近く、治療が難しい場合には人工腹水や人工肺水を作成して治療を行うなどの工夫をしています。また、肝機能や年齢、癌の進行度を十分に検討し、外科や放射線科と密接に連携をとりながら、肝切除術、肝動脈塞栓術、放射線治療(定位照射)など、病状に合った治療を行っています。

当科で行っている化学療法レジメン一覧(平成30年5月25日現在)

肝臓がん(PDF:75KB)

内視鏡検査数(平成29年1月~12月)

上部消化管内視鏡検査
6,961例
止血術 71例
EIS、EVL 53例
ESD、EMR 68例
胃瘻造設術 35例
食道拡張術 32例
食道ステント 2例
胃・十二指腸ステント 7例
下部消化管内視鏡検査
2,249例
ポリペクトミー、EMR 500例
ESD 28例
止血術 53例
大腸ステント 7例
経肛門的イレウス管挿入 4例
ERCP
349例
ENBD 32例
EST 112例
EPBD 16例
胆管ステント 135例
膵管ステント 16例
採石術 81例
胆膵IDUS 27例
超音波内視鏡
180例
EUS(プローブを除く) 137例
EUS-FNA 41例
小腸内視鏡
20例
シングルバルーン内視鏡 15例
カプセル内視鏡 5例