消化器内科

消化器内科について

上部消化管、下部消化管をはじめとして、膵胆道疾患、肝疾患などすべての消化器疾患に対応します。特に悪性腫瘍についてはcancer boardにて消化器外科、放射線科をはじめとした院内各科と連携し、最適な治療が行えるように努めています。手術適応のない症例、手術を希望されない症例に対する化学療法に際しては、がん専門薬剤師と連携して最新の臨床試験結果をもとに、患者様個々の病態に応じて治療レジメン、治療薬の投与量、適切な副作用対策を決定しています。

診療方針・理念

上部消化管疾患
消化管出血に対しては休日夜間を問わずに緊急内視鏡が出来る体制を整えていますが、NSAIDs使用例に対するPPI予防投与が浸透して来ているためか、上部消化管出血例は減少傾向になっています。食道表在癌、早期胃癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)も積極的に行っており2016年は56例でした。手術適応症例に対しては消化器外科と連携し正確かつ迅速な術前検査を目指しています。食道癌非手術例に対しては放射線科と協力して治療を行っており2016年の放射線化学療法施行例は16例、放射線単独の治療例は7例(全て緩和照射)でした。

当科で行っている化学療法レジメン一覧(平成28年6月1日現在)

下部消化管疾患
大腸内視鏡検査は、より苦痛が少なくなるように挿入性の向上した最新機種を使用し、炭酸ガス送気を全例に用いることで検査中、検査後の腹部膨満感を軽減しています。さらに必要に応じて拡大内視鏡を使用することで、ポリープの良悪性をその場で判断しています。ポリープ切除は年間約300例で、小さな病変は外来で施行しています。
多くの大腸癌は、小さな良性ポリープ=腺腫が、何年もかけて大きくなってポリープの一部が癌化すると考えられています(例外もありますが)。大腸カメラではなるべくポリープを見落とさずに検出することが重要で、腺腫発見率(adenoma detection rate:ADR)が大腸癌発見精度の指標となると報告されています(N Engl J Med 2014; 370:1298-1306)。当科の腺腫発見率は45%(2014年)で、欧米のdataより高く、それだけ丁寧に検査していると言えるでしょう。時に検査時間が長くなることもありますが、見落としの無い検査には十分な観察時間が必要であるとも言われています。
大腸がんに対する内視鏡治療の選択肢として2012年4月から内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dissection:大腸ESD)が保険導入されました。大腸ESDは病変直下の粘膜下層に液体を注入し、盛り上がった粘膜下層を専用のナイフを使用して少しずつ剥ぎ取っていくという治療です。EMRやコールドポリペクトミーでは、サイズの大きな病変や平坦な病変は治療困難であり、早期がんでも数年前までは外科手術が主体でした。大腸ESDにより、大きな病変でも内視鏡治療可能となり患者さんへの負担も軽くできるため、従来の外科治療に代わる新しい治療法として注目されています。大腸ESDは難易度の高い技術で治療できる施設は限られておりますが、当院では年間約40例施行しており治療成績も良好です。
この他多数の炎症性腸疾患症例の治療も行っており、現在当科で治療中の患者数(特定疾患申請者数)は潰瘍性大腸炎 約120例、クローン病 約50例です。

当科で行っている化学療法レジメン一覧(平成28年6月1日現在)

進行大腸がん(PDF:176KB)

膵胆道疾患
膵胆道疾患は腹痛や黄疸などが代表的な症状であり患者さんに大きな苦痛をもたらします。とりわけ膵胆道悪性腫瘍は発見時にはかなり進行していることが多く早期発見が困難と言われています。悪性腫瘍を含めた膵胆道系疾患の早期発見が重要と考え、健診部との連携や地域連携による膵胆道系疾患の診断治療に努めています。進行癌症例に対しては症例ごとにガイドラインに準拠して適切な治療法を選択して施行しています。
2016年のERCPおよび関連手技の施行件数は305件でした。総胆管結石に対する経乳頭的な内視鏡的治療は年間80症例に行いました。膵胆道悪性腫瘍に対しては各種画像診断法、特に超音波内視鏡検査や超音波内視鏡ガイド下針腫瘍生検(迅速細胞診も行っています)による正確な診断を心がけております。悪性胆道狭窄疾患に対する内視鏡的胆管ステント留置術は75件(52症例)でした。症例によっては経皮経肝的なアプローチによる治療も行っています。

当科で行っている化学療法レジメン一覧(平成28年6月1日現在)

進行胆道がん・膵がん(PDF:176KB)

肝疾患
  1. 慢性肝炎
    C型慢性肝炎は2014年9月にインターフェロンフリー治療が保険適応になって以来、ほとんどの患者さんでウイルス排除が可能な時代になり、当院でも積極的にインターフェロンフリー治療を行っています。1b型のC型肝炎に対してはダクラタスビル・アスナプレビル(ダクルインザ・スンベプラ)を65例に、新世代の治療薬である レジパスビル・ソホスブビル配合錠(ハーボニー)は60例に導入しています。また、2型のC型慢性肝炎に対してはソホスブビル・リバビリン(ソバルディ・コペガス/レベトール) を60例に導入しています。これまでのインターフェロン治療に比べて副作用が軽いため、入院が不要であり、外来でより安全に治療ができるようになりました。B型肝炎についてはエンテカビル(バラクルード)、テノホビル(テノゼット)などの核酸アナログ製剤を多数の患者様に投与を行い、効果を上げています。若い方についてはインターフェロン治療も行っています。
  2. 急性肝炎
    当院を受診される患者様に加え、重症例、原因不明の症例、経過が悪い症例など、他院からの紹介を広く、受け入れて治療を行っています。
  3. 肝硬変
    最近は栄養療法が重要な治療になってきています。当院では5年前から間接熱量計を導入し、患者様一人一人にあった栄養指導を目指しています。その他、B型肝硬変では核酸アナログ製剤の投与を行い、また、C型肝硬変の初期の方についてはインターフェロン治療を行っています。
  4. 肝がん
    肝がんも早期発見が重要です。発癌の危険性の高い慢性肝炎、特に肝硬変では超音波検査、CT検査、MRI検査を定期的に行い、早期発見に努めています。その他、他施設からの紹介も広く受け入れています。肝機能や年齢、癌の進行度を十分に検討し、病状に合った治療を行っています。当科では経皮的ラジオ波焼灼術を積極的に行い、2016年は15例の治療を行いました。また外科や放射線科と密接に連携をとりながら肝切除術、肝動脈塞栓術を行っています。

内視鏡検査数(平成28年1月~12月)

上部消化管内視鏡検査
6,961例
止血術 91例
EIS、EVL 35例
ESD、EMR 56例
胃瘻造設術 23例
食道拡張術 10例
食道ステント 7例
胃・十二指腸ステント 3例
下部消化管内視鏡検査
2,259例
ポリペクトミー、EMR 459例
ESD 41例
止血術 30例
大腸ステント 3例
経肛門的イレウス管挿入 8例
ERCP
305例
ENBD 40例
EST 89例
EPBD 23例
胆管ステント 135例
膵管ステント 25例
採石術 80例
胆膵IDUS 19例
超音波内視鏡
156例
EUS(プローブを除く) 125例
EUS-FNA 31例
小腸内視鏡
38例
シングルバルーン内視鏡 21例
カプセル内視鏡 17例