消化器内科

消化器内科について

上部消化管、下部消化管をはじめとして、膵胆道疾患、肝疾患などすべての消化器疾患に対応します。特に悪性腫瘍については、キャンサーボードにて消化器外科、放射線科をはじめとした院内各科と連携し、最適な治療が行えるように努めています。手術適応のない症例、手術を希望されない症例に対する化学療法に際しては、がん専門薬剤師と連携して最新の臨床試験結果をもとに、患者様個々の病態に応じて治療レジメン、治療薬の投与量、適切な副作用対策を決定しています。

診療方針・理念

上部消化管疾患
上部消化管疾患の診断は内視鏡検査が中心になります。当院では経鼻内視鏡も含めてハイビジョン画像で、画像強調観察、拡大観察が可能な最新鋭の内視鏡で検査を行っており胃癌、食道癌の早期発見、精査に取り組んでいます。消化管出血に対しては、夜間休日を問わず、緊急内視鏡止血を施行できる体制を整えています。カプセル内視鏡や小腸バルーン内視鏡による小腸の精査も可能です。
治療においても、早期食道癌、早期胃癌に対しての内視鏡治療(ESD:内視鏡的粘膜剥離術)を積極的に施行しています。進行癌に対しては、定期的に開催されるキャンサーボードで治療方針を検討しており、手術適応の無い(あるいは手術希望の無い)食道癌に対しては放射線治療科と連携して放射線化学療法や放射線単独療法を行っています。食道、胃、十二指腸の腫瘍性閉塞に対するステント療法も積極的に施行しています。

当科で行っている化学療法レジメン一覧(令和元年5月17日現在)

下部消化管疾患
<大腸腫瘍>

最も大事なことは症状が無い内に大腸カメラを受けてポリープを早期発見早期治療することです。人間ドックや検診などで便潜血検査が陽性になった場合はもちろん、ご家族に大腸癌の方がいる場合、腹痛や血便などの症状があって心配があるときは当科を受診して相談してください。

  • 大腸カメラについて
    大腸カメラは、より苦痛が少なくなるように挿入性の向上した最新機種を使用し、炭酸ガス送気を全例に用いることで検査中、検査後の腹部膨満感を軽減しています。さらに必要に応じて拡大内視鏡を使用することで、ポリープの良悪性をその場で判断しています。ポリープ切除は年間約500例で、小さな病変は外来で施行しています。
    多くの大腸癌は、小さな良性ポリープ=腺腫が、何年もかけて大きくなってポリープの一部が癌化すると考えられています(例外もありますが)。大腸カメラではなるべくポリープを見落とさずに検出することが重要で、腺腫発見率(adenoma detection rate:ADR)が大腸癌発見精度の指標となると報告されています(N Engl J Med 2014; 370:1298-1306)。当科の腺腫発見率は45%(2014年)で、欧米のdataより高く、それだけ丁寧に検査していると言えるでしょう。時に検査時間が長くなることもありますが、見落としの無い検査には十分な観察時間が必要であるとも言われています。
  • 大腸ポリープ(良性腫瘍、または早期大腸癌)
    大腸カメラを受けた際にポリープが発見された場合、病変のサイズや御本人の病状など条件が許せば、検査時にポリープ切除を行う場合もあります。この場合、電気メスを使用しない コールドポリペクトミーや、局所注射と電気メスを使用した内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection:EMR)などの方法を用います。
    また、早期大腸癌に対する内視鏡治療の選択肢として2012年4月から内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dissection:ESD)が保険導入され、 従来の外科治療に代わる新しい治療法として注目されています。 大腸ESDは病変直下の粘膜下層に液体を注入し、盛り上がった粘膜下層を専用のナイフを使用して少しずつ剥ぎ取っていくという治療です。EMRやコールドポリペクトミーでは、サイズの大きな病変や平坦な病変は治療困難であり、早期癌でも数年前までは外科手術が主体でした。大腸ESDにより、大きな病変でも内視鏡治療可能となり患者さんへの負担も軽くなっています。
  • 進行大腸癌
    内視鏡治療が困難な進行大腸癌が発見された場合には、キャンサーボードで消化器外科・放射線科と連携の上、手術手術治療や抗癌剤治療など病状にあった治療を選択します。
    近年の抗癌剤治療の進歩はめざましく、仕事など日常生活を継続しながら、外来での抗癌剤治療を長期間続けることが可能になっています。
<炎症性腸疾患>
多数の炎症性腸疾患症例(潰瘍性大腸炎、クローン病)の治療も行っております。
潰瘍性大腸炎の治療の中心はペンタサ・サラゾピリンに代表される5-アミノサリチル酸製剤とステロイド製剤になります。また炎症が直腸やS状結腸が中心の場合には注腸療法や座薬を用いることもあります。多くのばあい外来で治療が可能ですが、重症例では入院の上、精密検査および治療を行います。また再燃を繰り返す場合、ステロイド療法が効果が認められない場合には免疫調節剤、血球成分吸着・除去療法(GCAP)を併用します。クローン病の 薬物療法は潰瘍性大腸炎と同様に免疫異常や腸管炎症を抑制することにより症状を改善させます。また、クローン病の場合は必要に応じて栄養療法を併用して炎症の悪化を抑えていくことも必要です。
潰瘍性大腸炎、クローン病いずれも、内科治療に難渋する場合には必要に応じて消化器外科と連携し、腸管切除や狭窄解除などの外科治療を選択することもあります。

当科で行っている化学療法レジメン一覧(令和元年5月17日現在)

進行大腸がん(PDF:201KB)

膵胆道疾患

膵胆道の病気は腹痛や黄疸などが代表的な症状であり患者さんに大きな苦痛をもたらします。
良性疾患では胆嚢炎、胆管炎、膵炎などが代表的な病気であり、PTGBD:経皮経肝的胆嚢ドレナージやPTCD:経皮経肝的胆管ドレナージなどの経皮経肝的処置やERCP:内視鏡的逆行性胆管膵管造影による内視鏡的処置が必要となります。いずれの処置も当科で行っており、2018年のPTGBD関連手技は57件、PTCD関連手技は10件、ERCPおよび関連手技の施行件数は365件でした。

膵胆道疾患イメージ
図a、b、c:膵被包化壊死に対して膵臓瘻孔形成術を施行した症例
図d、e、f:悪性胆道狭窄、十二指腸狭窄に対し経胃的胆管吻合術を施行した症例

悪性疾患では膵臓癌、胆道癌が代表的ですが、いずれも早期発見が困難な悪性腫瘍であり半数以上の症例が発見時に手術不可能なほどに進行しているのが現状です。しかし、近年は診断精度の向上により早期発見を行うことが可能となってきました。その中の代表的な検査として、超音波内視鏡検査:EUSが挙げられます。2018年のEUS件数は193件であり、超音波内視鏡ガイド下針生検:EUS-FNA件数は39件でした、EUS-FNAでは迅速細胞診を付加することで診断能の向上と早期診断に力を注いでいます。膵胆道の悪性腫瘍は患者さんの病状とUS、EUS、CT、MRI、ERCP等の画像検査を総合的に判断し診断すべき疾患であり、とりわけ専門性が高い領域といえます。当科では膵胆道悪性腫瘍に対し専門医、指導医が早期に迅速かつ正確に診断するように努めています。一方で、これまでPTGBDやPTCDで対応せざるを得なかった閉塞性黄疸や、ドレナージに長期間入院を要した膵仮性嚢胞や被包化壊死などに対し、当科ではEUSを用いた治療が可能となっています。具体的には、EUSを用いた経胃的もしくは経十二指腸的胆管吻合術、急性膵炎の重篤な合併症である膵仮性嚢胞や被包化壊死に対してHot AXIOSシステムを用いた膵臓瘻孔形成術を行うことができます。最後に当科でEUSを用いて施行した肝内胆管胃吻合術と膵臓瘻孔形成術の症例をそれぞれ提示します。

当科で行っている化学療法レジメン一覧(令和元年5月17日現在)

進行胆道がん・膵がん(PDF:182KB)

肝疾患
  1. 慢性肝炎
    C型慢性肝炎は2014年9月にインターフェロンフリー治療が保険適応になって以来、ほとんどの患者さんでウイルス排除が可能な時代になり、当院でも2017年11月末に保険収載された グレカプレビル/ピブレンタスビル(マヴィレット)を含め300症例を超える症例に治療を行っています。これまでのインターフェロン治療に比べて副作用が軽いため、入院が不要であり、外来でより安全に治療ができるのが特徴です。B型肝炎についてはエンテカビル(バラクルード)、テノホビル(テノゼット)、テノホビル・アラフェナミド(ベムリディ)などの核酸アナログ製剤を多数の患者様に投与を行い、効果を上げています。若い方についてはインターフェロン治療も行っています。
  2. 急性肝炎
    当院を受診される患者様に加え、重症例や原因が不明で経過が悪い症例など、他院からの紹介を広く受け入れて治療を行っています。
  3. 肝硬変
    最近は栄養療法が重要な治療になってきています。当院では7年前から間接熱量計を導入し、患者様一人一人にあった栄養指導を目指しています。その他、B型肝硬変では核酸アナログ製剤の投与を行い、また、C型肝硬変の初期の方に対してはインターフェロンフリー治療を行っています。
  4. 肝がん
    肝がんも早期発見が重要です。発癌の危険が高い慢性肝炎、特に肝硬変では超音波検査、CT検査、MRI検査を定期的に行い早期発見に努めており、他施設からの紹介も広く受け入れています。またCT検査やMRI検査で診断が難しい腫瘍や、腎機能障害や造影剤アレルギーなどで造影CTや造影MRIが困難な患者さんに対しては、造影超音波検査を積極的に行っています。
    肝がんの治療法には肝切除術、肝動脈塞栓術、経皮的ラジオ波焼灼術、放射線治療(定位照射)、化学療法など様々なものがありますが、肝機能や年齢、癌の進行度などを十分に検討して治療方針を決定し、消化器外科や放射線科と密接に連携をとりながら治療を行っています。経皮的ラジオ波焼灼術は2000年から行っており、隣接する臓器に腫瘍が近く、治療が難しい場合には人工腹水や人工胸水を作成して治療を行うなどの工夫を行っています。

当科で行っている化学療法レジメン一覧(令和元年5月17日現在)

肝臓がん(PDF:103KB)

診療実績

平成30年(1月~12月)の新入院患者数1,773人、1日平均入院患者数54.9人、平均在院日数は10.4日でした。内視鏡検査件数は下記の通りです。

内視鏡検査数(平成30年1月~12月)

上部消化管内視鏡検査
6,173例
止血術 60例
EIS、EVL 37例
ESD 49例
胃瘻造設術 26例
食道拡張術 10例
食道ステント 2例
胃・十二指腸ステント 11例
下部消化管内視鏡検査
2,245例
ポリペクトミー、EMR 562例
ESD 26例
止血術 42例
大腸ステント 17例
経肛門的イレウス管挿入 4例
ERCP
369例
ENBD 30例
EST 143例
EPBD 19例
胆管ステント 163例
膵管ステント 11例
採石術 98例
胆膵IDUS 47例
超音波内視鏡
233例
EUS(プローブを除く) 194例
EUS-FNA 39例
小腸内視鏡
38例
シングルバルーン内視鏡 18例
カプセル内視鏡 20例