診療科・部門
婦人腫瘍科について

特徴

  • 当院は長野県北信地域におけるがん拠点病院です。婦人科悪性腫瘍についても婦人科腫瘍専門医が在籍しており、婦人科腫瘍学会指定修練施設に認定されています。
  • 婦人科臓器の悪性腫瘍(子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん、外陰がん、肉腫など)の診断、治療全般を行っています。
  • 初期がんに対しては正確な病期診断とともに患者さんの負担を最小限に抑える低侵襲な手術(子宮体がんに対する腹腔鏡手術、ロボット手術)を導入しています。
  • 進行がんに対しては化学療法、手術、放射線治療を組み合わせた集学的な治療が求められ、婦人科医、腫瘍内科医、放射線科医、病理医などとカンファレンスを行い質の高いチーム医療を実践しています。
  • 若年の悪性腫瘍患者さんに対しては、患者さん、ご家族と十分に話し合い、根治性を損なわない範囲で将来の妊娠、出産を見据えた妊孕性温存手術、ホルモン治療を行っています。
  • 近年がんの遺伝子情報に基づく新しい治療アプローチが始まっていますが、当院では腫瘍内科と協力してHRD検査、BRCA検査、MSI検査、がん遺伝子パネル検査などを行い、患者さんに最適ながん薬物療法をお勧めしています。
  • 術後のリンパ浮腫や心理的サポート、就労支援など、がん治療をする際の生活面でのサポート体制も充実しています。
  • チーム全体で一人の患者さんに対し、十分な時間をかけてカンファレンスを行い、患者さんにとって最良の診療を提供するよう努めています。

主な婦人科がんの種類

  • 子宮頸がん
  • 子宮体がん
  • 卵巣がん
  • 外陰がん
  • その他(子宮肉腫など)

当院ではすべての婦人科がんに対応が可能です。
また以下に記載の手術、化学療法は当院で可能な治療法です。

子宮頸がんについて

~子宮頸がんは子宮の入り口にできる悪性腫瘍です~

特徴

  • 若い方の発症が増えています
  • HPV(humanpappilomavirus:ヒト乳頭腫ウイルス)の感染が主原因
  • HPVワクチン接種によりがんの予防が可能

治療法

上皮内癌

妊孕性を温存した治療  円錐切除

進行がん
  • 手術(開腹、腹腔鏡
    • 単純子宮全摘術
    • 準広汎子宮全摘術
    • 広汎子宮全摘術
  • 放射線治療(同時放射線化学療法)
  • 化学療法
    • 通常の化学療法:TC+ベバシズマブ
    • 新しい治療 免疫チェックポイント阻害剤:
      ①TC+ベバシズマブ+ペムブロリズマブ
      ②セミプリマブ
放射線治療

子宮頸がんについてもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

子宮体がんについて

~子宮体がんは子宮の内腔にできる悪性腫瘍です~

特徴

  • 50歳前後の発症が多い
  • 遺伝学的背景を持つ方がいます
  • 新しい治療として免疫療法が著効する方がいます

治療法

  • 初期がん 腹腔鏡下手術(ロボット支援下、リンパ節郭清を含め)が可能です
  • 進行がん 
    • 手術による腫瘍減量が効果的です。
    • 化学療法は近年免疫療法が広く行われるようになり、生存期間の延長が望めるようになりました。(MSIという手術で摘出した検体のDNAを調べる検査です)
    • がん免疫療法:
       MSI-highの場合ペムブロリズマブ
       MSI-陰性の場合ペムブロリズマブ+レンバチニブ

がん免疫療法の仕組み

がん免疫がん細胞から体を守る免疫機能
(主にTリンパ球が主役です。)

しかしがん細胞はTリンパ球のPD-1抗体にPD-L1たんぱくを結合させ、Tリンパ球ががん細胞を攻撃するのをやめさせてしまいます。

そこで免疫チェックポイント阻害剤がTリンパ球のPD-1抗体にくっつきその作用を阻害することで再びTリンパ球ががん細胞を攻撃することができるようになります。

子宮体がんについてもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

卵巣がんについて

~卵巣にできた嚢胞の壁から生じる悪性腫瘍~

特徴

  • 子宮内膜症から生じることがある
  • 遺伝的背景を持つことがある(HBOC:遺伝性乳がん卵巣がん症候群
  • 数か月で腹腔内に多量の播種を生じることがある
  • 若年者の胚細胞腫瘍は妊孕性の温存が可能で手術+化学療法で根治が見込めます。

治療法

  • 初期がん 手術(子宮全摘 両側卵巣卵管切除 大網切除 リンパ節郭清)→化学療法
  • 進行がん 手術(腫瘍減量術)→化学療法

遺伝学的検査により維持療法が変わります

  • BRCA陽性→オラパリブによる維持療法
  • HRD陽性→オラパリブ+ベバシズマブによる維持療法
  • HRD陰性→ニラパリブによる維持療法

HBOCについて

~BRCA遺伝子変異陽性のがん患者~

予防的卵巣卵管摘出術(RRSO)により将来の卵巣がんの予防が可能です。

卵巣がんについてもっと詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

当科の治療実績

2021年2022年2023年
子宮頸がん治療総数131314
 手術9511
 放射線治療232
 CIN3を含めた  円錐切除数314341
子宮体がん治療総数324544
 手術193629
卵巣がん治療総数323734
 卵巣がん手術131716
 境界悪性腫瘍手術583
子宮肉腫治療総数211
外陰がん治療総数113