診療科・部門
整形外科・リウマチ科

概要

責任体制 : 複数主治医制をとっています

すべての責任を一人の主治医が負うことは主治医が24時間不眠不休でつきっきりになることであり現実的に不可能です。そこで、当科では各患者さん一人一人に対していわゆる”主治医”を置き、整形外科医師がお互いにサポートする体制を敷いております。それにより、学会や出張あるいは手術中で主治医が対応できなくても他の医師がサポートするため患者の皆さんは安心して医療を受けていただけます。「私は主治医じゃないから知らない」という、そんな冷たい塩対応は決してあり得ません。それを実現するために、当科では月~金に医師全員が集まる早朝就業前ミーティングがあり外来や入院患者さんについて検討会を行い、患者さんの情報を医師間で共有しております。

診療は完全予約制です

2002年より初診および再診の全てを完全予約制にしています。当院が担う役割は病診連携・病病連携を通じてご紹介いただく患者さんの治療ですので,受診される皆さんはまずは”かかりつけ医”としての開業医を受診していただき,紹介によって当科を受診してください。これは厚生労働省の指導に基づくもので、私たちの考えとも合致しております。

当科の役割

重度外傷などの3次救急疾患にも対応し、当院の理念である「24時間断らない救急」を目指しています。しかし、理念だけが先行すると働き方改革とは真逆となり、各医師たちは日勤~夜勤~日勤という連続業務を続けることになりかねず、疲弊しきった医師が患者さんの治療に当たることになります。これでは地域住民の皆様の健康を守ることができません。誰もそんなに疲れている医師に手術をして欲しくはないはずです。当院に課せられた高度の3次救急に対応するためにはスタッフの正常な余力が必須と考えております。そのために打撲・捻挫、単純骨折や高齢者の大腿骨頸部・転子部骨折などの1次・2次外傷についてはそれに適した施設で治療を受けていただけるよう整形外科部長として強く希望しております。それにより、より高度の外傷や難治疾患に注力できると考えます。そして、急性期治療に区切りがついたところで、紹介いただいたクリニックにお戻りいただき、あるいは”かかりつけ医”へご紹介させていただくようにしております。地域の医療資源を有効に活用するための方策であり、当科は決して”かかりつけ医”にはなれないことを患者の皆様、ご家族の皆様にはご理解いただけますようお願い申し上げます。

扱う疾患

当科の特徴は小児整形外科疾患、スポーツ関連障害、脊椎疾患、四肢関節疾患、転移性骨腫瘍および多発外傷などを専門的に治療していることです。とくに3次救命救急センターとして、高度に粉砕挫滅した四肢外傷に対してはイリザロフ創外固定法を取り入れており、これにより従来ならば再建困難な四肢外傷に対しても良好な治療結果を提供できております。さらに、種々の合併疾患を有するがために手術が困難とされる患者の皆さんについても他診療科との協力のもと治療の方向性を検討できることが長野赤十字病院の強みです。

診療の特色

外傷外科、関節外科、脊椎外科、手の外科、運動器の腫瘍、スポーツ医学、といった整形外科の全領域を網羅するよう診療を行っています。

変形性関節症に対する人工関節手術

変性変形により痛みを伴う関節に対して人工股関節・人工膝関節全置換手術を行っています。

小児整形外科(先天性股関節脱臼・先天性内反足など)

手術治療と保存的治療をバランスよく行っております。少子化の社会において小児を大切に育てることはより重要と考えます。そのためには、小児の運動器疾患に対応することで社会貢献につながるとかんがえております。

スポーツ整形外科(スポーツ活動を通じて障害を被った股関節や膝関節疾患)

関節鏡視下手術を積極的に行い、スポーツ活動への復帰を目指しています。

脊椎疾患(頭頸移行部から腰仙椎まで)

通常の脊髄神経除圧術や脊椎固定術そして経皮的手術としてのBKPなど小侵襲手術などの手術を行っております。とくに経皮的椎体形成手術(BKP)では骨粗鬆症性圧迫骨折に対して変形の防止・改善とともに即時固定性による除痛効果があります。高齢者では痛みのために臥床しているとすぐに体力が落ちて廃用となり、圧迫骨折を契機に寝たきりになってしまい家族の負担増へとつながります。つまり80歳以上の高齢者の新鮮圧迫骨折や偽関節例にこそ高い治療効果を発揮しております。

上肢・手の外科

手指の筋腱障害・手指変形性関節症・手根管症候群などの狭窄性神経障害などに対しても外科的治療を行っております。手の外科については当院形成外科でも扱っており、単一の診療科が扱うというよりも集学的に協力し合って診療にあたっております。

骨軟部腫瘍・転移性骨腫瘍

がんの骨転移患者さんのために、院内には骨転移キャンサーボードを設立し、関連診療科と連携協議しながら治療にあたっています。がんの骨転移による四肢の骨折や脊椎の骨折、そして急性の脊髄障害による四肢手足の麻痺などに対応しております。

四肢重度外傷・骨盤輪骨折

四肢重度外傷・骨盤輪骨折などこれら重度外傷に対しても妥協なく対応しております。特にイリザロフ創外固定法では軟部組織への侵襲を最小限に抑え、骨折部を強固に固定することで即時荷重運動が可能となる優れた手法です。また、この方法を応用することで骨移送といって欠損してしまった骨を新たに創生させることも可能となっております。

診療実績

2024年の総手術件数は1,356件。そのうち緊急手術が242件でした。
骨折等の外傷が772件、人工関節(膝・股関節)が78件、脊椎手術が253件、手の外科手術が68件(手根管開放術 24件、腱鞘切開手術 19件、母指CM関節固定術 4件、他)、アキレス腱手術が40件、イリザロフ創外固定手術が32件でした。

年間手術件数

対象疾患・術式2024年
脊椎手術253
脊椎外傷手術58
大腿骨転子部骨折(骨接合)82
大腿骨頸部骨折(人工骨頭)63
大腿骨頸部骨折(骨接合)33
人工股関節全置換術48
人工膝関節全置換術27
四肢外傷手術391
上肢の手術130
下肢の手術302
骨盤骨折観血手術9

イリザロフ創外固定法の実際(足関節の開放性粉砕骨折)

学術実績

整形外科開設以来の学会発表数は606件で、掲載論文は284件、このうち、英文論文が24編です。

スタッフ紹介

出口 正男 (でぐち まさお)
役職:
副院長 兼 部長(リウマチ科)
卒業年:
昭和62年卒
資格等:
日本専門医機構認定整形外科専門医、日本脊椎脊髄病学会認定脊椎脊髄外科指導医、中部日本整形外科災害外科学会(評議員)、日本専門医機構認定脊椎脊髄外科専門医
小清水 宏行 (こしみず ひろゆき)
役職:
部長(整形外科)
専門分野:
整形外科
卒業年:
平成21年卒
資格等:
日本整形外科学会認定整形外科専門医、日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医、日本専門医機構認定脊椎脊髄外科専門医・指導医
長谷川 弘晃 (はせがわ ひろあき)
役職:
副部長(整形外科)
専門分野:
整形外科
卒業年:
平成20年卒
資格等:
日本専門医機構認定整形外科専門医、日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医
宮津 優 (みやつ ゆう)
役職:
副部長(整形外科・リハビリテーション科)
専門分野:
整形外科
卒業年:
平成20年卒
資格等:
日本専門医機構認定整形外科専門医
石原 典子 (いしはら のりこ)
役職:
医師
専門分野:
整形外科
卒業年:
平成29年
資格等:
整形外科専門医
児玉 敏宏 (こだま としひろ)
役職:
医師(整形外科)
卒業年:
令和3年卒
渕野 孝明 (ふちの たかあき)
役職:
医師(整形外科)
卒業年:
令和3年卒
稲垣 智也 (いながき ともや)
役職:
医師(整形外科)
専門分野:
整形外科
卒業年:
令和4年卒
小西 正晃 (こにし まさあき)
役職:
医師(整形外科)
専門分野:
整形外科
卒業年:
令和4年卒

診療担当一覧

完全予約制

 
初診小西 正晃
(第1.3.5週)
稲垣 智也
(第2.4週)
石原 典子
(第1.3.5週)
小清水 宏行
(第2.4週)
宮津 優
(第1.3.5週)
長谷川 弘晃
(第2.4週)
稲垣 智也
(第1.3.5週)
小西 正晃
(第2.4週)
渕野 孝明
(第1.3.5週)
児玉 敏宏
(第2.4週)
再診宮津 優
小清水 宏行
加藤 光朗(非)
児玉 敏宏
小西 正晃
稲垣 智也
出口 正男
長谷川 弘晃
渕野 孝明
石原 典子