内科医
内科医としての総合力を養おう
2年間の初期研修終了後、内科医を選んだ皆さんは内科後期研修医となり、内科医としての臨床総合力を身につけるべく研鑽を積んでいくことになります。当院の場合、最初の1年間は2ヶ月ずつの内科ローテーション研修です。いつまで研修医って呼ばれるんだい!?といい加減うんざりしているかもしれません。我々の時代とはどえらい違いです。研修もろくにしていないのにまるでベテラン医師かのように患者さんに振舞っていたりして、今思えば恥ずかしい限りです。その反省からか医師になって5年間も研修医という名前がつけられることとなりました。それは少なからず我々昭和生まれの世代に責任があるような気もします。
しかし、研修医という立場は特典もあります。当院のローテーション研修では指導医がしっかりとマンツーマンで指導しますし、その間は気軽に質問することができます。さらに研修医と名前はついているものの、割と責任のある立場で研鑽を積むことができます。ER では内科救急疾患をたくさん経験できます。現在自分と一緒に勉強している佐藤公洋先生は、呼吸器内科の専門研修1年間に突入していますが、内科医としての総合力を遺憾無く発揮してくれています。“当院の後期研修制度は悪くないな”とほくそ笑んでいるところです。
当院の呼吸器内科の研修では非常に幅広く経験ができます。肺がんをはじめとする悪性腫瘍(ゲノム医療から緩和ケアまで)、ARDS など人工呼吸管理が必要な集中治療、HIV や COVID-19 といった感染症診療、気管支喘息や間質性肺炎といったアレルギー膠原病診療などを軸に診療しています。さらに肺循環障害を専門的に診療しており、右心カテーテル検査も自前で行っています。気管切開や気管支鏡検査、胸腔鏡検査なども術者として経験できます。
とにかく、内科医としての総合力を身につけるべく、貪欲に多くの患者さんをベッドサイドで診療することが重要と思います。厳しく、そして楽しく、お互いが向上できるよう、そして患者さんたちが笑顔になれるよう一緒に勉強していきたいと思います。
外科医
当院は、日本専門医機構による外科領域専門研修プログラムの専門研修基幹施設です。当院には専門研修に必要な外科系の全科が揃っており、3 年間の研修で外科専門医の取得に十分な症例手術を経験することができます。基本的には研修 1 年目で消化器外科,乳腺内分泌外科、呼吸器外科をそれぞれ 3 か月以上、研修 2 年目で心臓血管外科を 3 カ月以上の研修を行います。研修期間中に適宜小児外科症例の診療、手術を経験し小児外科の研修としています.当院には北信地区で唯一の救命救急センターがありますので、手術を必要とする胸腹部外傷や急性腹症患者などが多数搬送されてきます。多くの緊急手術を外科専攻医が執刀しています。
当院のこの 3 年間の NCD 登録数(手術件数)は 4,436 件で、日本外科学会の基準によると 9 名の外科専攻医の研修を受け入れることができる計算になります。
電子書籍を含めた医学雑誌なども充実し、e-learning 環境も整えられており、UpToDate も利用可能です。発表があれば何回でも日本中の学会に参加が可能で旅費も支給されます。論文の掲載料も研究費から支払われます。学習、臨床研究が可能な環境が整っています。
当院の連携施設は、信州大学医学部附属病院、南長野医療センター篠ノ井総合病院、飯山赤十字病院で、当院は信州大学の連携施設となっています。
信州大学外科からも当院に外科専攻医が派遣されています。1 年間の研修で外科専門医取得に必要な 350 例以上の手術、内 120 例以上の術者としての経験を積み、次のステップであるサブスペシャリティ領域の専門医の取得にも役立っているものと思います。
当院で外科専門研修を終えた 4 人の先生は外科専門医を取得し、県内外でさらなる研鑽を積んでいますが、将来当院に戻り活躍してくれることを楽しみにしています。
救急部
Generalist? Specialist ?
当院はすべての診療科が揃い 24 時間体制で診療できる長野県北部を担当する唯一の救命救急センターです。断らない救急をモットーに救急外来では、年間救急車搬送 6,800 件と walk in 12,500 例ほどを応需しております。様々な病態(内因・外因・軽症・重症・小児・高齢者・精神)がバランスよく来院され、重症度・緊急度を考慮した救急医療を展開しております。
救急科は多発外傷や多臓器不全の傷病者の急性期の治療戦略をたて全身管理をすることを主としている診療科です。救急初期診療(ER)・集中治療管理(ICU)はもちろんですが、病院搬送前の診療(ドクターカー)・災害時の医療(DMATなど)・院内急変時の対応(RRS)も担当しております。また、消防・医療機関との連携(メディカルコントール)や医療従事者/一般市民の方への救命・救護処置の啓発(蘇生法などのシミュレーション)により地域住民の蘇生率・社会復帰率の向上を計っています。
医療の進歩に伴い診療科の細分化がされました。亜急性期や回復期に於いては免疫や遺伝子治療など、各診療科(specialist)間での連携もみられています。一方で、救急外来では、疾病では診断が確定するまで・外傷では多部位損傷などでは、緊急度・重症度が高くなくとも診療科が決まらないことがあります。急性期に於いて、診療科の細分化は診療できない領域(隙間)を広げました。この隙間の診療も救急科が担当します。高齢化社会に伴い様々な既往を有す傷病者が増加し、この隙間を埋める generalist としての必要性はさらに大きくなると考えます。
当院の後期研修プログラムでは、急性期の generalist の育成を目的としております。3 年間の研修のうち 1 年間は高度救命救急センター(山梨県立中央病院・前橋赤十字病院・信州大学)で救急科における専門性(acute care surgeon, flight doctor, intensivist)を研鑽します。診療体制はチーム制でシフト勤務であり、work–life balance もしっかりしています。当院の初期研修医の中から最近 5 年間で 6 名(うち女性 3 名)が後期研修で救急科を専攻しました。
これからの医療は specialist と generalist の数のバランスが大切です。そして各々の分野で高い質が求められます。貴方はどちらを選択されますか?