産婦人科

産婦人科について

産婦人科診療全般に対応できます。特に産科診療・低侵襲手術に力をいれており、ハイリスク妊娠の母体搬送を多数お引き受けすると同時に、腹腔鏡下子宮全摘術や子宮筋腫核出術を含む腹腔鏡下手術を行うことができます。悪性腫瘍、子宮脱、不妊症の診療も行っています。

診療科ニュース

堀澤信第二産婦人科部長が、"The Best Doctors in Japan2022-2023 "に選出されました。
こちらは、ベストドクターズ®社が行っている各分野で優れた医師についての調査で、「自己または家族の治療を、自分以外の誰に委ねるか」という観点から他の医師の推薦・評価により選出されたものです。

診療方針・理念

産科では、いわゆるハイリスク妊娠の治療に対応しており、年間約100件の母体搬送を受け入れています。糖尿病、てんかん、甲状腺機能異常、血液疾患や心疾患などの合併症妊娠に加え、妊娠高血圧症候群、前置胎盤、多胎妊娠、切迫早産などの合併症妊娠の管理を行うことができます。ハイリスク妊婦の治療は、随時小児科と連絡を取りながら行っており、妊娠25週以降の早産に対応可能です。
ローリスク妊娠についても積極的に受け入れています。産科も小児科も常に当直医が待機しており、また多数の経験豊富な助産師、看護師が分娩に対応しています。母体搬送される患者さんたちも、もとはローリスクとして管理されていた方々であり、一寸先が読めないのが産科診療の特徴でもあります。安心・安全な妊娠出産をご希望の方は、是非当院での分娩もご検討ください。

婦人科では、良性卵巣囊腫や子宮筋腫などの良性疾患に対し、積極的に内視鏡手術(腹腔鏡下手術や子宮鏡下手術)を取り入れており、身体への侵襲の軽減や入院期間の短縮を図っています。腹腔鏡下手術では約5日間、子宮鏡下手術では3日間の入院期間で行い、従来の開腹手術に比べて社会復帰までの期間が短いことが特徴です。詳しくは、下掲のご説明用紙をご覧下さい。
腹腔鏡下手術は、順天堂大学で研修を行った、産科婦人科内視鏡学会技術認定医である堀澤副部長を中心に行っています。また、平成31年1月より腹腔鏡外来(毎週木・金曜日)を開設しました。

癌拠点病院として悪性腫瘍の患者さんの治療を行っています。東北信地方の病院からご紹介いただいた患者さんに対し、手術、放射線治療、化学療法を組み合わせた集学的治療を当院だけで完結することが可能です。入院化学療法は2泊程度で行い、外来化学療法も積極的に行っています。

不妊症については、不妊症スクリーニング、排卵誘発や人工授精までの一般不妊治療、子宮筋腫や卵巣囊腫が原因として疑われる方に対する腹腔鏡下手術を行っています。
その他、子宮頸部上皮内腫瘍、尖形コンジローマなどに対するレーザー治療、子宮脱に対する手術、羊水染色体検査なども行っています。

安全、安心な分娩をめざして

当院は地域周産期母子医療センターとして特に周産期の診療に力を入れています。このたび、患者さまの入院生活がよりよいものになるように病棟の改築を行いました。患者さまの安全、安心な妊娠出産のため、当院で行っていることをご紹介いたします。

地域周産期母子医療センター

当院は、産科医療補償制度加入機関です
  • 当院は妊婦の方に安心して出産していただけるよう、産科医療補償制度に加入しており、もしも重度の脳性麻痺となった赤ちゃんが生まれ、一定の要件を満たしている場合には、所定の補償金をお支払いします。
  • 平成21年1月1日午前0時以降に生まれた赤ちゃんが対象です。
  • 妊娠5ヶ月(16週から19週)を迎えた妊婦の皆さまに、登録証と制度の詳細が記載されたパンフレットをお配りしますので、登録証に必要事項をご記入のうえ、健診時に産婦人科外来にご提出ください。
  • 制度開始に伴い、平成21年1月1日以降取り扱う全ての分娩は補償対象分娩となります。そのため、当院では平成21年1月1日から分娩費用が30,000円増額されます。この費用は、産科医療補償制度への掛金として、運営組織である厚生労働省所轄の財団法人 日本医療機能評価機構へ支払われます。国は、妊婦の皆さまの分娩費負担軽減を目的として、制度発足と同時に「出産育児一時金」の引き上げを予定しております。皆さまのご理解、ご協力をお願いいたします。

※この制度に関してご不明な点等ございましたら、産婦人科外来窓口またはB5病棟助産師までお問合せください。

産科医療補償制度シンボルマーク

このマークは、産科医療補償制度のシンボルマークです。制度の詳細、補償内容についてはこちらをご覧ください。(産科医療補償制度サイト http://www.sanka-hp.jcqhc.or.jp/

産後出血への対応
産科医療の発展に伴い、日本の妊産婦死亡率は大きく低下しました。1950年には年間約4000人の母体死亡がありましたが、この10年ほどは年間50人前後で推移しています。このうちの3割前後を分娩時の多量出血が占めていると考えられており、産後出血への対応は産科医療の中でも重要なテーマとなっています。
当院では、経腟分娩の患者さんについても全員に分娩時の点滴を行っています。点滴を行うことで、薬剤を迅速に血管内に投与することが可能となり、分娩時の出血に素早く対応可能です。出血以外の緊急事態にも役立ちます。
また、多量出血時の子宮摘出を回避するため、バクリバルーンという子宮内に挿入する風船のようなものを採用しました。弛緩出血などでの危機的出血の際、子宮内に留置することで止血を試みています。バクリバルーンで出血のコントロールができない場合、放射線科医に依頼して子宮動脈塞栓術を行う場合もあります。
麻酔科、小児科との連携
帝王切開では、全例麻酔科医師が麻酔を担当しています。麻酔による術後の頭痛を予防するため、非常に細い針で腰椎麻酔を行います。その麻酔薬には少量の麻薬を添加して効力を延長し、患者さまの術後の痛みを軽減することができます。また、弛緩出血や癒着胎盤などにより出血が多くなっても全身管理を安心して任せることが出来るため、産婦人科医も手術に集中できます。
手術前後の点滴、食事などは術後回復能力強化プログラムにより手術前の点滴を廃止し、周術期の絶飲食期間を短縮するなど、手術侵襲(反応)の軽減、手術合併症の予防(=安全性の向上)、術後の回復促進に務めています。
帝王切開症例では、緊急帝王切開も含め全例小児科医師が手術に立ち会っているため、予想外に具合の悪い赤ちゃんが産まれた場合にも迅速に蘇生を開始することができ、これも大きな安心につながっています。経腟分娩の場合も新生児に何か問題があった場合は小児科医師がすぐにかけつけてくれる体制が整えられています。
各科との連携
麻酔科、小児科に限らず、院内各科との連携を取りながら、ほとんどの合併症妊娠に対応することが可能です。

当院は安心、安全な分娩をめざして、院内の体制を整えています。

  • 平成27年4月より、外来を完全予約制としました。妊娠・不妊・通院中の方・緊急性を要する場合は個別対応しますが、原則として予約をお取りください。
  • 初診患者様は紹介状を持参した患者様の診察に限定しています。妊娠判明以外の初診患者様は必ず紹介状を持参してください。
  • 産科、婦人科とも他院からの紹介で受診される場合は、地域連携センターを通じて予約を取ってから受診してください。
  • 初診患者様は、紹介状の有無に関わらず、下の問診票に必要事項を記入の上、持参して下さい。

当院へ里帰り分娩を希望される方へのご案内

当科は完全予約制です。
事前に地域医療連携室予約センターにて予約をお取りいただき、来院していただくようになります。
事前の分娩予約は必要ありません。

  • 経膣分娩予定の場合は32週から34週までに里帰りをされ、受診予約をお取りください。
  • 帝王切開予定の場合は28週から30週までに受診予約をお取りください。
  • 双胎妊娠の場合は26週までに里帰りをされ、受診予約をお取りください。

予約の流れ

詳しくはこちらをご覧ください。

診療実績(平成31年1月~令和元年12月)

手術・検査件数

※( )内は腹腔鏡下手術(ラパロ)件数

手術総数
479件
子宮筋腫 子宮全摘出術 56件(40件)
筋腫核出術 20件(19件)
帝王切開+筋腫核出術 2件
子宮脱 根治術・閉鎖術 15件・3件
異所性妊娠手術 12件(1件)
卵巣腫瘍 78件(68件)
卵巣癌・腹膜癌 20件(5件)
外陰癌、膣癌 0件
子宮頸癌(上皮内腫瘍を含む) 39件(15件)
子宮体癌 12件(1件)
腹腔鏡下手術(ラパロ)合計 149件
子宮鏡下手術(手術室) 26件
分娩総数
537件
帝王切開術 174件
鉗子分娩 13件
吸引分娩 18件
骨盤位分娩 0件
多胎分娩(双胎 32件) 13件
臨床指標(治療成績)
帝王切開率:33.3%(221/608)
母体搬送:78件
周産期死亡率(出生1,000人対):28週以後の死産(2)+ 早期新生児死亡(0)/28週以後の出生数(531)=3.7
WHOの周産期死亡率:1,000g以上の死産(2)+ 1,000g以上の新生児死亡(0)/1,000g以上の出生数(528)=3.8
妊娠合併症:心血管疾患12、糖尿病59、てんかん5、甲状腺機能異常25、妊娠高血圧症候群34、子宮筋腫・卵巣腫瘍45、気管支喘息59